小さなお子さんを持つお母様から「虫歯予防に効くクスリはないですか?」という質問をされます。
それに対しては「フッ化物含有うがい薬や塗り薬は、科学的に効果が示されていますよ」とお答えできます。なぜなら、お口の中でのフッ化物の作用には「歯の再石灰化の促進」と「ミュータンス菌の酸産生の抑制」があるからです。
そこで、今回は、フッ化物塗布が推奨されている理由について解説したいと思います。
〇まずは家庭において、積極的にフッ化物を使用しましょう!
生えたばかりの歯は、フッ化物に対する反応性が高いことが分かっています。そこで、家庭において、毎晩、保護者が仕上げ磨きを行い、その直後に、フッ化物を歯面に塗布することをオススメします。なぜなら、家庭でフッ化物塗布を毎晩継続して行うことが、虫歯発生リスクの軽減において効果的であることが分かっているからです。
生えたばかりの歯に対するフッ化物塗布が有効であることから、1歳前後〜中学校3年生くらいまでの間、継続して行うように、毎晩の習慣にされると良いと思います。
また、家庭で使用するための製品が、低濃度フッ化物であるのに対し、歯科医院や自治体のフッ化物塗布事業では高濃度フッ化物が使用できます。虫歯のチェックも含め、定期的に歯科を受診されることをオススメします。
〇家庭用のフッ化物製品は、年齢や虫歯リスクに応じて選びましょう
家庭用フッ化物製品は、主に泡タイプ(写真1)、ジェルタイプ(写真2)、含嗽薬タイプ(写真3)の3タイプがあります。年齢や虫歯リスク(虫歯治療経験の有無)などに応じて選ぶことをオススメします。
▲写真1 泡タイプのフッ化物は、うがいのできない子供に使用するための最も低濃度のフッ化物製品です。 生後6ヶ月の頃、歯が生え始めたら、歯面に付着するデンタルプラーク(歯垢)は、ガーゼでぬぐって、歯面をキレイにしてあげましょう。その後、ガーゼにフッ化物の泡を付けて、歯面に塗布すると良いでしょう。
▲写真2 うがいが出来るようになったら、ジェルタイプのフッ化物を使用します。年齢に応じて、使用する濃度(製品)を選択し、適量を使用します。毎晩、保護者の仕上げ磨きの後、歯ブラシを使用して、適量を歯面に塗布します。塗布した後は、少量の水でうがいし、歯面や口の中にフッ化物を残したまま就寝します。
▲写真3 当院では、含嗽薬タイプのフッ化物を、6歳以上の虫歯リスクの高い(虫歯経験のある)子供に推奨しています。フッ化物洗口を行うときは、飲み込まないように注意して行います。
※製品によって適応年齢や使用法などが異なりますので、ご自身で選ばれる場合は、用法用量などをよく読んでお選びください。