宇都宮市平松3丁目、産業通り沿いの歯科医院「亀井歯科・矯正歯科」 院長の亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)です。
院内感染対策のおはなし、いよいよ最終回です。前編・中編では、使い捨ての器具の使い方と、繰り返し使う器具を清潔に戻すまでの流れをご紹介してきました。今回(後編)は、最後のステップ──滅菌器(オートクレーブ)の使い分けについて、もう少し踏み込んでお話しします。
オートクレーブには、3つのクラスがあります
歯科医院で使われる高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)は、ヨーロッパの基準にもとづいて、性能の違いから「クラスN/クラスS/クラスB」の3つに分類されています。
– クラスN(奥の下段):単純な形の器具を、包装せずに滅菌する用途
– クラスS(奥から2番目上段):内部に細い管がある器具など、やや複雑な形のものに対応。但し容量が小さい。
– クラスB(奥の上段):滅菌パックに包装された器具、ガーゼや布類など、あらゆる形態に対応する最も高性能なタイプ
当院には、この3種類すべてが揃っています。
「最強のBで全部やればいい」── は、ちょっと違う
クラスBの説明だけを読むと、つい「最強なのはB、だったら全部Bで滅菌すればいいのでは?」と思われそうですが、現場の実態はそうシンプルではありません。
歯科医院で滅菌を行う本来の目的は、器具に付いている細菌・ウイルスを死滅させること。器具の形状ごとに、それに見合ったクラスのオートクレーブで適切に処理すれば、その目的はきちんと達成されます。なんでもかんでもBで処理する必要はありませんし、それが最良の選択とも限りません。
形状ごとの使い分け
具体的には、当院では次のように使い分けています。
– ピンセットなど、シンプルな形の器具:クラスNで滅菌(包装なし)
– タービンなど、内部に細い管が通っている器具:注油洗浄したあと、クラスSで滅菌
– 滅菌パックに包んだ器具、ガーゼ、布類:クラスBで滅菌
逆に、組み合わせを誤った例としては、こんなものがあります。
– ピンセットを滅菌パックに包んでクラスNで滅菌する → NG
– タービンを滅菌パックで包装せずにクラスNで滅菌する → NG
クラスNは、包装の内側や、内部に細い管がある複雑な器具の奥まで、蒸気を行き渡らせることができません。前者では包装内に蒸気が届かず、後者では管の中まで届かないので、いずれも滅菌が不完全になります。「最強じゃないBで足りるのか?」よりも、器具の形と滅菌器のクラスを正しく組み合わせることのほうが、はるかに重要なのです。
なぜクラスSも備えているのか ── タービンと運用のはなし
タービンは1本あたり10万円以上する高価な器具です。1日の来院患者さんの人数分の本数を備え付けるのは、現実的ではありません。
そこで活躍するのが、クラスSです。クラスBに匹敵する水準の滅菌を、より短い時間で行える(その代わり1回の処理量は少なめ)という特徴があり、これを活用することで、院内に常備するタービンを20本程度に抑えながら、診療中ずっと滅菌済みのものを切らさず回すことができます。3つのクラスを揃えていることには、こうした実務的な意味もあります。
ガーゼの話と、目に見えない積み重ね
ガーゼも、かつて当院では未滅菌のガーゼを自院で滅菌する設備がなかったため、工場出荷時にすでに滅菌されたガーゼを仕入れて使っていました(もちろん使用後は廃棄)。クラスB導入後は、未滅菌のガーゼやロールワッテを院内で滅菌してから使えるようになっています。
当然のことではありますが、こうした目に見えない部分の積み重ねこそ、診療の質を支えていると考えています。
シリーズのまとめ
3回にわたる院内感染対策のおはなし、ここまでお読みいただきありがとうございました。
派手な話題ではありませんが、ディスポーザブル製品の使い方、洗浄の四段階、滅菌器の使い分け── どれも、毎日の診療の土台となっている地道な仕事です。「丁寧に、当たり前のことを当たり前に」を、大事にしています。
ご来院をお考えの方へ
宇都宮市平松3丁目、産業通り沿いの歯科医院「亀井歯科・矯正歯科」です。北からお越しの場合は、産業道路入口交差点(国道123号・通称「石井街道」との交差点)を南へ1400m、進行方向左手。南からお越しの場合は、産業通りと平成通の交差点を北へ300m、進行方向右手。クリナップ宇都宮ショールーム、フトン巻きのジロー平松本町店から産業通りを挟んで斜向かいにあり、隣は田中商事です。敷地内には17台分の無料駐車場をご用意しています(敷地内は全面禁煙)。
亀井歯科・矯正歯科
院長 亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)
栃木県宇都宮市平松3丁目1-10

















