2026年5月29日

A. 使ったあとの器具は、こうして清潔に戻ります:当院の院内感染対策のおはなし(中編)

宇都宮市平松3丁目、産業通り沿いの歯科医院「亀井歯科・矯正歯科」院長の亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)です。
前編では、グローブ・紙コップ・麻酔の針といった「使い捨ての器具」のお話をしました。今回(中編)は、もうひとつの種類──ピンセットやミラー、タービン(歯を削る器具)といった、繰り返し使う器具が、どうやって次の患者さんのために清潔な状態に戻されているのか、その流れをご紹介します。

当院では、使用済みの器具は 「洗浄 → 滅菌 → 保管」という順番で処理されていきます。ひとつずつ見ていきましょう。

 

 

「洗浄」は、何段階もあります

意外と知られていない事実ですが、滅菌は、汚れた器具にはきちんと効きません。血液やタンパク質といった有機物が表面に残っていると、その内側に潜む細菌まで熱や蒸気が届かず、滅菌が不完全になってしまうからです。
そのため、すべての器具はまず「洗浄」から始めます。ただしこの「洗浄」自体が、実はいくつかの段階を踏んで進められます。
血液が付着した器具は、まず タンパク除去洗浄剤 に浸漬し、こびりついたタンパク質を溶解します。次に流水でしっかり流したあと、超音波洗浄槽 に浸漬し、微細な振動で目に見えないレベルの汚れまで落としていきます。

ここまでで下準備が整い、いよいよ ウォッシャーディスインフェクター(高温熱水洗浄機)の出番です。

 
ウォッシャーディスインフェクター(高温熱水洗浄機)

家庭でいえば食洗機の高性能版のようなイメージです。当院のウォッシャーディスインフェクターは、家庭用食洗機のメーカーとしても有名なMiele社製です。専用の洗剤と高温の熱水で、器具に残った汚れを最終的に落とすと同時に、約93度の熱水で 熱消毒まで行い、この時点で、芽胞を除くほぼすべての細菌・ウイルス(除菌率で言えば99.999%以上)を不活化します。(※ただ、これでは使えないので、すべての細菌・ウイルスを死滅させるため、この後の工程において、滅菌を行います。)
人の手で洗うこと自体は可能ですが、担当者によって洗い残しのばらつきが出たり、鋭利な器具を扱うリスクがあったりと、限界があります。機械に任せられる工程は機械に任せ、毎回ぶれない品質で洗浄できるようにすることが、最大のメリットです。
仕事帰りにお越しになる患者さんも多く、夕方以降は診療室が忙しくなります。そんな時間帯でも、洗浄の質が一定に保たれるのは、こうした機械が裏方で着実に働いてくれているおかげです。
タービンには、専用の注油洗浄

歯を削る高速回転器具(タービンやコントラアングル)は、内部に注油・冷却・回転のための細い管が複雑に通っています。表面を拭くだけでは中まで届かないため、専用の注油洗浄機で内部までオイル洗浄してから、次の工程に渡します。

 

 

そして、滅菌(オートクレーブ)へ

洗浄を終えた器具は、最後に 滅菌器(オートクレーブ)にかけます。高温・高圧の水蒸気で、器具に残ったすべての細菌・ウイルスを死滅させる、最終ステップです。
実はこのオートクレーブ、性能によってクラスN/クラスS/クラスBの3つに分類されており、当院にはその3種類すべてがあります。器具の形状や種類に合わせて使い分けているのですが、「クラスBが最強」と思われがちな一方で、話はそんなにシンプルではありません。

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※図:当院の滅菌室
・右・下段:ウォッシャーディスインフェックター
・右・上段:ヒートシーラー(滅菌バッグを熱圧着で封じる機械です)
・右から2番目・上段:ハンドピース自動注油・洗浄器(栃木県にある世界的メーカーナカニシの機器です)
・右から3番目・上段:クラスSオートクレーブ
・左・上段:クラスBオートクレーブ
・左・下段:クラスNオートクレーブ

 

次回予告

オートクレーブのクラス分けの話、そして「最強なのはBではない」という、ちょっと意外な真実については、最終回となる後編で詳しくお話しします。
ご来院をお考えの方へ

当院の所在地は宇都宮市平松3丁目、産業通り沿いです。北からお越しの場合は、産業道路入口交差点(国道123号・通称「石井街道」との交差点)を南へ1400m進んで左手、南からお越しの場合は、産業通りと平成通の交差点を北へ300m進んで右手。目印は、産業通りを挟んだ斜向かいのクリナップ宇都宮ショールームとフトン巻きのジロー平松本町店、当院の隣は田中商事です。敷地内に17台分の無料駐車場をご用意しています(敷地内は全面禁煙)。

 

 

亀井歯科・矯正歯科
院長 亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)
栃木県宇都宮市平松3丁目1-10