2026年5月22日

歯科医院で使った器具はどうなる? 使い捨て器具と感染対策の基本(院内感染対策シリーズ前編)

公開日: 更新日:

宇都宮市平松3丁目、産業通り沿いの歯医者「亀井歯科・矯正歯科」院長の亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)です。

治療が終わって、椅子から立ち上がる──。そのあと、使った器具がどうなっているか、考えてみたことはありますか? たいていの患者さんはあまり気にされないかもしれませんが、私たち歯科医院にとっては、実はとても大切な仕事の続きが、ここから始まります。

当院でも、この「治療のあと」の工程を整えることを長く大切にしてきました。今回から3回にわたって、診療室の裏側で何が起きているのか、できるだけわかりやすくご紹介します。

歯科医院の器具は、大きく分けると2種類

ひとつは、一度使ったら必ず捨てる「使い捨て(ディスポーザブル)」のもの。グローブ、紙エプロン、紙コップ、ペーパータオル、ガーゼ、麻酔の針、麻酔のカートリッジ、説明用の歯ブラシ、ラバーダム、針付き縫合糸、メスの替刃、アプリケーターなど、多岐にわたります。患者さんごとに新しいものを開封し、使用後はそのまま医療廃棄物として処分します。

もうひとつは、洗浄と滅菌の工程を経てから、次の患者さんに使う器具。ピンセット、ミラー、歯を削るタービン、歯石を取るスケーラー、ラバーダム防湿に使用するクランプなど、金属製でしっかりした作りのものです。適切に処理することで、何度でも清潔な状態に戻すことができます。

医療の世界では「適切に処理して再使用する」ことと「未処理のまま使う」ことは、まったく別のものとして扱われます。私たちが日々取り組んでいるのは、もちろん前者です。

スタンダードプリコーションという考え方

医療現場には、「すべての患者さんの血液・唾液・体液は、感染リスクがあるものとして扱う」という共通の原則があります。専門的にはスタンダードプリコーション(標準予防策)と呼ばれ、世界中の医療機関で採用されている基本的な考え方です。

平たく言えば、「誰が来ても、同じ水準の対策をする」ということ。ご高齢の患者さんでも、小さなお子さんでも、初診の方でも、長く通ってくださっている方でも、扱いを変えたりはしません。

「使い捨て」といっても、捨てる理由は器具ごとに異なる

ディスポーザブル製品は毎回廃棄するのでコストがかかりますが、当院では患者さんごとに新しいものを十分にご用意しています。ひと口に「使い捨て」といっても、捨てる理由は器具ごとに少しずつ違います。

  • 麻酔針のように内部に細い管や隙間がある器具:人の手でどれだけ丁寧に洗っても、目に見えない部分に体液が残ってしまうリスクがあるため。
  • メスの替刃のように、切れ味を確実に保つ必要がある器具:構造はシンプルですが、患者さんに適切な処置を行うため、毎回新しいものに交換します。
  • グローブ・エプロン・紙コップ・ガーゼ・マイクロブラシなど、皮膚や口の中に直接触れたり、汚れを受け止めたりするもの:患者さんごとに交換するのはもちろん、ひとりの治療中でも、処置によっては何度も交換します。

写真は、歯の表面に少量の薬液を塗布するときに使用する小さなブラシで、使い捨て製品の代表格です。

使い捨てのマイクロブラシ(歯の表面に薬液を塗布する器具)

これは、1箱に300枚入っているタイプのニトリルグローブです。当院では、2日程度で1箱を消費します。

使い捨てのニトリルグローブ(1箱300枚入り)

クリニックのバックスペースでは、こんな感じでストックしています。

診療室のバックスペースに保管された使い捨て製品のストック

診療室ではたまに、小さなお子さんから「この紙コップ、持って帰っていい?」と聞かれることがあります(お子さんの紙コップは、大人用とデザインが異なります)。私たちは「使ったものじゃなくて、新しいのを持っていく?」とお返ししているのですが、こんな何気ないやり取りが成り立つのも、使い捨て製品が当たり前のようにそこにある状態を保てているからかな、と思います。

次回予告:ここまでは「使い捨てる側」のお話。次回(中編)は、繰り返し使う器具を、どうやって清潔な状態に戻しているか── 洗浄機(ウォッシャーディスインフェクター)と滅菌器(オートクレーブ)を使った、当院の処理の流れをご紹介します。

ご来院をお考えの方へ

当院は宇都宮市平松3丁目、産業通り沿いの歯科医院です。産業道路入口交差点(国道123号・通称「石井街道」との交差点)から南へ1400m・進行方向左手、または産業通りと平成通の交差点から北へ300m・進行方向右手。クリナップ宇都宮ショールームやフトン巻きのジロー平松本町店から産業通りを挟んだ斜向かい(隣は田中商事)にあります。敷地内に17台分の無料駐車場をご用意しています(敷地内は全面禁煙です)。ご予約・お問い合わせはお電話(Tel. 028-632-0033)にて承ります。

亀井歯科・矯正歯科|栃木県宇都宮市平松3丁目1-10/院長 亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)

執筆・監修

亀井歯科・矯正歯科
執筆・監修:院長 亀井英彦(日本歯科専門医機構認定 歯周病専門医)
副院長 亀井牧子(日本矯正歯科学会 認定医)
医院プロフィール:スタッフ紹介ページ