2023年10月1日

当院の虫歯予防に関する説明内容をアップデートしました

結論から説明しますと、最近発表された複数の論文を考慮し、当院で患者さんに向けて説明している「虫歯予防」に関する内容をアップデートしました。随時説明していきたいと思います^^

それに至る経緯は少し長くなります。。。。

世界保健機関(World Health Organization, WHO)が、2023年5月に開催された76th World Health Assembly(第76回世界保健総会)において、「口腔保健ケア」をプライマリヘルスケア(#1)とユニバーサルヘルスカバレッジ(#2)に統合する必要があると発表しました(※1)。WHOは医療の中でも口腔ケア(お口のケア)を重要視しています。

WHOの口腔ケアに関する発表として、2015年に虫歯予防を含む、糖類摂取に関するガイドラインが発表されています。

WHOが発表したガイドラインは、「Guideline: Sugars Intake for Adults and Children(成人及び児童の糖類摂取量)」というタイトルで、ものすごく簡単に要約すると「遊離糖類(#3)摂取量をエネルギー総摂取量の一定割合未満に抑えると、過体重・肥満・う歯のリスクを減らせますよという内容でした。

以前は、糖類の摂取頻度が虫歯発症リスクを上げることが示唆されていましたので、当院でも虫歯予防の説明においては、摂取頻度を重視した指導内容を採用していました。

しかし、上記ガイドラインの発表から、10年近くが経過し、様々な研究データが蓄積した結果、最近になって、Journal of Dental Research(歯科分野では最もインパクトファクターの高い科学雑誌)に、それらを裏付けるシステマティック・レビュー(臨床的に価値の高い解析結果)が発表されました。

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つまり遊離糖類摂取量がエネルギー摂取量の一定割合未満であると、う蝕の発症が抑えられること(WHOの上記ガイドライン)を支持する内容でした。

話は長くなりましたが、これらのことから、当院での「虫歯予防」に関する説明内容をアップデートしましたので、随時説明させて頂きたいと思います。1日のエネルギー必要量は年齢や性別、その人の活動レベルによって、大きく異なるため、遊離糖類摂取量の目安を分かりやすく説明できるように準備したいと考えています。

どの分野も科学的根拠(エビデンス)は経時的にアップデートされていきます。できるだけ新しく価値のある情報を提供できるように努力したいと思います^^

《注釈》

#1:プライマリーヘルスケア(Primary health care, PHC):科学的に有効でかつ社会的に受容できるやり方や技術に基づく必要不可欠な保健医療ケア

#2:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage, UHC):全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態

#3:遊離糖類とは、製造業者、調理人又は消費者が食品及び飲料に添加した単糖類(ブドウ糖又は果糖類等)及び二糖類(ショ糖又は食卓砂糖等)並びにハチミツ、シロップ、果汁及び濃縮果汁に天然に存在する糖類とされています

《参考文献》

※1:Allison PJ et al., Considering Sentinel Indicators to Promote Integrating Oral Health Care in UHC and Primary Care, JDR Clin Trans Res. 2023;8(4):308-310.

※2:World Health Organization, Guideline: Sugars Intake for Adults and Children, Geneva, World Health Organization, 2015.

※3:Moores CJ et al. Systematic Review of the Effect on Caries of Sugars Intake: Ten-Year Update, J Dent Res. 2022;101(9):1034-1045.