2020年7月13日

矯正治療の”後戻り”って聞いたことありますか?

数年間の矯正治療が終わり、ブラケットやマウスピースを外した後の保定期間、保定装置についてお話しします。

 

矯正治療は、歯に弱い力を持続的にかけると歯は動くということを利用して行う治療です。 

 

なので、数年かけて、歯をゆっくり動かして、矯正治療がおわった時点で、都合よく、歯が、その位置にピタッと止まってくれることはありません!! 歯列の維持をするという点においては、そうなってくれたら大変助かるのですが、、、、。

歯には、頬の力や舌の力、噛んだ時にかかる力など常に影響を受けています。歯根の周りに歯槽骨がありますが、直接、結合しているわけではありません。歯根膜繊維というコラーゲン繊維により支えられておりますが、その歯根膜 『図:歯槽骨とセメント質(歯根の表面の組織)を結びつけている繊維』には矯正治療前の位置に歯を戻そうとする力が働きます。また、矯正治療後に、加齢やケア不足、なんらかの要因により、歯を支えている歯根の周りの骨も減ってしまうこともあり、そのような状態で歯に力がかかると、意図しない方向に歯が動いてしまったりします。

 

なので、歯を動かす期間のことを矯正治療期間とすると、治療のために使用したブラケットやマウスピース型矯正装置を外した後は、元の位置に戻ろうとする歯の動きに対して、矯正治療終了後の歯並びを維持、安定させるための努力が必要になります。その期間を保定期間と呼びます。   

 

ただし、必ずしも絶対に歯を固定させ、位置を移動させないということが良いわけではありません。毎日、お食事などの咬合力により機能的な位置に移動することは問題にはなりません。より緊密で機能的な咬合になっていくためには、歯が移動するということがプラスに働きます。また、歯根と歯槽骨が直接くっついているのではなく、歯根膜により繋がっていることは、咬合力がかかったときにクッションのようなプラスの役割があります。歯根膜には、歯にかかる力を受けてくれる大切な役割がありますので、そのことも絡めて説明しだすと複雑になってしまいますので、、このブログの記事では、矯正治療後に意図していない元の位置に戻るという”後戻り”というテーマにしぼり、説明させていただいております

 

歯は動くものということを考慮すると、本来は、保定期間は、一生を通して必要とします。しかし、現実的には一生通っていただくのは難しいので、矯正治療終了後、約2年(亀井歯科矯正歯科の場合)は、歯並びを維持するために保定装置を使用していただきながら、数ヶ月おきにチェックに来ていただいております。この期間を保定期間としています。

 

2年経過以降も、歯の位置は変化し続けるのが歯の仕組みですので、2年経過以降も、患者様と相談して、歯が動くという本来の歯の位置に関する仕組みをご理解いただいた上で、保定装置の使用をどうしていくか決めています。2年経過後も引き続き、定期的にチェックに来ていただける方には、お願いすることもあります。

 

保定装置は、どんなものがあるのか?はまた別の機会に掲載いたしますね。