2019年2月8日

妊産婦さんに読んで欲しい 0歳からの虫歯予防(第1回 細菌定着編)

これから産まれてくる赤ちゃんや、歯が生えたばかりの赤ちゃんが、これから虫歯にならないようにするため(虫歯になるリスクを軽減するため)には、どんなことに注意したら良いでしょうか?

これから産まれてくる赤ちゃんがいるご家庭や、小さなお子さんのいるご家族の方に、正しい知識を持って頂き、小さな子供の虫歯が、一本でも減少すると嬉しいです。

まず、今回は、虫歯菌はどこからやって来て、お子さんの口の中に住み着くようになるのか?について解説したいと思います。

 

〇虫歯菌は親から子へ、唾液を介しての感染に注意しよう!

お子さんの虫歯予防は、いつから、どのように取り組むべきでしょうか?

 

これについては、虫歯菌(ミュータンス菌)が、お子さんのお口の中に定着する過程について理解することが大切です。
ミュータンス菌は基本的に家族(主に保護者)からお子さんへ、唾液を介して常に伝播(でんぱ)しています。

伝播が繰り返されると、お子さんの歯の表面に細菌が定着し、歯面の脱灰(歯の成分が溶出した状態)を引き起こすようになります。

一方で、生後から歯が生えはじめるまでは、口の中に歯はありませんから、お口の中にミュータンス菌は定着しないといわれています(*1)。

また海外の論文(*2)によると、2歳7か月までの時期に、ミュータンス菌が感染するリスクが、顕著に高いことが示されています。

この時期には、家族の唾液の付着した食器(お箸やスプーンなど)を共用したり、ペットボトルの回し飲みをしたり、うがい時に使用するコップを家族で一緒に使ったりしないように注意しましょう。

つまり、お子さんの口の中に、家族の唾液が、頻繁に入らないように心がけることが大切です。

さらに、赤ちゃんが産まれてくる前に、ご家族の方が、ご自身の口腔清掃が正しく行えるように、適切な口腔清掃習慣や技術を身につけ、日常的に口の中の細菌数を減らしておくことが大切です。

赤ちゃんを育てる時期だからこそ、子育てに関わる家族全員が、口の中の健康に関心を持ち、正しい知識を知って頂きたいと思います。そうすることが、子供の幼少期の虫歯リスク軽減への近道だと考えています。

<参考文献>

*1:花田信弘ほか 小児う蝕予防の最前線(第1版). 東京: クインテッセンス出版, 2018, p12-15

*2:Caufield PW et al. Initial acquisition of mutans streptococci by infants: evidence for a discrete window of infectivity. J Dent Res 1993; 72: 37-45